聖なる龍に愛された。
「いつか女に殺されるよ」
やっと喋ったと思ったらツンツンなんだからー。
『だよなぁ〜でも葉月ちゃんになら殺されてもいいかな〜』
あの黒蝶が本気を出したら
きっと俺1人じゃ勝てないな〜。
そんなことを考えてたら
葉月ちゃんは柵のところまで行き
校庭を見下ろしていた。
俺も葉月ちゃんに続き校庭をみおろした。
『あれ、葉月ちゃんのクラスだよね〜』
「そうだよ」
俺は葉月ちゃんをみた。
『俺、知ってるよ。葉月ちゃんに水をかけたやつら。』
この子の反応をみるために。
なのに、「そうなんだ」そう一言興味なさげに言った。
なぜ?
なぜ興味なさそうにする。
『知りたいと思わないの〜?』
「別に」
『仕返ししたいと思わないの〜?』
「べつに」
嘘つけ。
はやく。
はやく自分も他の女と同じだって。
女なんてみんな同じだって。
だって
そうだろ?
『いい子ぶってる?私は他の奴らと違うよって思ってる?』
「べつに」
相変わらず冷静に興味なさげに言う彼女。
『どうせ君も他の奴らと一緒だろ。そんな本性隠してないでさっさとだしなよ』
「……」
いきなり何も言わなくなった。
ほら。ほらみろ。
『女なんてちょーっと人気あってキャーキャー騒がれてるやつの前では良い顔して、少しでも好かれようとするんだよなあ。どうせ中身なんて見てない。顔だけ良ければなんでも良いんだろう』
「太陽」
我を失い止まらず一方的に話し続けていた俺。
そんな俺の名前を
彼女は
初めて呼んだ。
聞いたこともない
優しい声で。