俺のこと、惚れさせるから
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「どお?落ち着いた?」
「………う、ん」
クリスマスツリー点灯まで、あと5分。
たくさんのカップルに囲まれて、俺たちはツリーを見上げていた。
「だ、だいたい、翼が戻ってくるのが遅いからこうなったんだからね?」
「悪かったって」
さっきからこのやりとりを何度も続けていた。
「で?何買ってきたの?」
「え?あ、えーとそれは………」
どうしよう。
今言ったらカッコつかないよな。
「ほ、ほら、あと1分!」
「あ、逸らした…………」
じとーっと俺を睨み、夏姫はそっとツリーに目を向けた。