好きになれよ

「宜しく」

そう彼はポツリと挨拶をすると、席に着いた。

「こ・・こちらこそ宜しく」

席に着いた彼に言うと視線を戻してグラウンドを見つめた。

グラウンドでは、体育の授業なのかサッカーをしていた。

はぁ・・・どうしてクラス違うのかな。

まぁ。せめてもの救いは体育は混合ってぐらいだ。

勿論男子とは別だけど。

コンコンッ

しばらくすると隣から机を叩かれた。

隣の彼を見ると「担任が呼んでる」と言い指差した。

「新崎!お前聞いていたか?」

岡崎先生は私をすごまじき勢いで睨みつけていた。

「あ・・すいません。聞いてませんでした」

「はぁ・・じゃあ新崎自己紹介をしろ」

そうめんどくさそうに黒板をチョークで叩いて見せた。

黒板には”自己紹介”と書いてあり、自己紹介の流れが書いてあった。

「えーっと・・新崎莉奈です。好きな食べ物はラーメン。嫌いなのはトマトです。最近見たテレビは特にないです。これから宜しくお願いします」

挨拶が一通り終わり、席に着いた。

はぁ。自己紹介はだいっきらいだ。

目立つし、静かだし。

静かは息が詰まる。

「よし。全員終わったな。じゃあそろそろ終わるし解散。あと新崎は佐々木に学校案内宜しく」

そう捨てゼリフを吐き、教室を出て行った。

すると女子の群れが隣に集まりきゃーきゃー騒ぎだした。

うわ。うざ。

他人のフリ。そう思い無視をした。

「ねぇねぇー♡佐々木君って彼女さんいるのー?」

「あー。それ私が聞くつもりだったのにー。でも気になるー教えて?」

あーうるさい。静かにしろよ。

心の中で舌打ちをしまくった。

「莉奈ー!」

グラウンドから大雅の声が聞こえ窓を開け、外を覗いた。

「あ。大雅!どうしたの?」

「今日母さん仕事あるから莉奈の家でごはん食べる事になったから、莉奈の家いくわ」

大雅はそういいニコッと笑った。

「わかった!龍君も来る?」

「あー。龍か。連れていくわ」

「了解。じゃあ待ってる!」

そういうと大雅は友達のところへ行った。

「ラブラブですなぁー」

いつの間に来たのか千昌はニヤニヤと笑っていた

「ち・千昌!いつの間に?!」

「ふふふ。ずっといましたよ?それより、莉奈の隣いいなぁー。イケメンじゃん」

千昌は顎でクイッと差した。

「はぁ?どこがよ。うるさいだけじゃん。きゃーきゃーうるさいし」

そうブツブツ言うと「いいねー。そんな悩み。私も言ってみたいわ。ってか。今日大雅君の夜ご飯莉奈が作るの?」といった。

「んー。まぁね。親が共働きだもん」

そう言い千昌に笑って見せた。

「じゃあ二人っきりかぁー!楽しめよ」

千昌はそう捨て台詞を吐き、教室を出て行った。

嫌。龍君がいるんだけど・・・

ちなみに”龍君”とは、中3の男の子。

すごくかっこよくて、でも優しい。

そんな完璧な子なのだ。

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