雨の日に君へ
黒き天蓋の下に出会う

「どちらまで?」

不意に聞こえる低めの声。
瞬間視界が黒くなる。

声の主は小柄な少年。

シックな深い緑色のコートの下には
この空の色の如く濃いグレーのキュロットを
上品に着こなし、襟元には無垢なアイボリーの
ジャボタイが淡く際立っている。

その身なりは恰もどこぞの貴族の様。



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