雨の日に君へ
「ふぅ~。ヨハン、すまない
危うく捕まるところだったよ」
「…いえ、こちらこそすみませんでした。」
「アッハハハ!その事はもういい
それより途中で傘を落としてしまったようだ」
確かにその手には
先程の黒い傘が握られておらず、
全身雨に濡れていた。
まずいな、このままでは
風邪を召されるかもしれない。
俺は慣れているからいいが
ビザーリックはこんなにびしょ濡れになった
ことはないだろうな。
「はて、どこで落としたかなぁ?」
「あの、それよりお召し物が……
一度帰られた方がよろしいのでは」
「それは嫌だよ。外の方が断然面白い♪」
「ですが…」
「さてヨハン、傘は無くしてしまったが
今日はまだ長い。
なあ、小腹が空かないか?食べに行こう」
「……いえ。あの、それより」
「しつこいぞ!俺が行くと言ったら行くのだ」
「……はぁ、わかりました。
…知りませんよ?」