雨の日に君へ

その小さな手には黒い傘の柄が握られ
俺に向けられていた。

「あー…っと、どーも?」

と、反射的に気の抜けた言葉を返すと
彼はきょんとした表情で、どこか悲しげな
目をして

「あぁ、すまない、…こういう気質なんだ。
いや、育った環境がそうさせたのかな。」

子供にしては随分大人らしい声色だった。




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