雨の日に君へ
「いや、本当にすまない。突発的だった。」

「いえ……。」

何が楽しいのか。
今度は笑ってばかりいる。
と、笑い疲れたのかいきなり
明後日の方を見ては静かな声で続けた。

「なに、どこに行くとしても
これを持っていないと不便だろう。
…今日みたいな天気は。」

「はぁ…。」

「だから差し上げるよ。」

……?どんな流れ?
そう言って半強引にその黒いシンプルな傘を
俺の胸に押し付けてきたが

「え?いや、あの…大丈夫です」

当然断った。


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