雨の日に君へ
「俺はな、自分の名が嫌いなんだ」
………?
名前……?
好きとか嫌いとか、考えたこともなかった。
どんな感覚なのだろう。
「名付けたのはもちろん親だよ。
母様も父様も二人して皮肉で付けたんだ…」
言葉を理解することが
こんなにも難しかっただろうか。
彼の言っていることがやはりわからない。
「ん?どうした、ヨハン?」
「…?あ、申し訳ありません」
いつの間にか足が止まってしまっていたようだ
「深く考えなくていいよ。
聞き流してくれて構わない。」
どうしてだろうか。
なぜビザーリックという少年は
こんなにも冷めているのだろう。
その自嘲気味な言葉を吐くごとにこう、
ザワザワするようなイライラするような
なんとも言えない変な気持ちになる。