Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「どうかしたの?」
春は俺の顔を覗き込んだ。
「デザート何かな」
待ち遠しそうに森山さんが言う。
「パイナップルとトロピカルフルーツのムース、カカオのソルベだって」
さっき教えてもらった通りに言う。
「美味しそう、ね、先輩」
「ええ」
さっき言われたことが気になっていた。
慣れて心地いいというのは、
リラックスできても逆に変り映えしない。
春は、普段、会うときは、
俺が何も考えてないと思われてるのか…
考えてないと言えば考えてない。
だって、考えなくても、
春の喜ぶことは知ってるし、
何が気が進まないのかも知ってる。
十年も、一緒にいるんだから、
そういうのは、メリットだと思ってた。
そういえば、
春と会ってても、毎回春の行きたい店だ。
毎回春の言うとおり、安くてうまい店。
何の刺激も無い…
退屈だったのか?
「刺激か…」
「どうしたの?いきなり」
「いいですね。それ。ナオさん、
私、ここのバーに行きたい」
「ホテルのバー?ああ、いいけど」
「先輩、行きましょうよ。
明日、仕事があるって言うのは、
なしですからね」
「ナオ、疲れてるでしょ?」
「いいや。刺激が足りないくらい」
「カクテルの飲みたいなあ」
「花火付いたやつとか?」
「馬鹿にしないで下さいよ。
大人っぽいのです」