Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
俺は、今日は少し酔うつもりで、
二杯目をロックにした。
そっか。
いつも、春に勝とうと思ってたんだな。
気がつかないだなんて…
自分のことながら、
ばかばかしいことに気づく。
春は、いつも自分が
生まれた環境とか、
社会的な地位や、
財産を持ってることで、
俺の事、無条件で自分より
上に見ている。
逆に、俺は、祖父や父は、
与えられた環境に頼ってばかりな、
どうしようもなく
甘ったれた息子だと思ている。
だから、二人は、親に頼らず、
学費まで自分で工面している
春妃のことをやたら持ち上げた。
俺は、
春ちゃんの足元にも及ばないって。
特にそういう苦労をしてきた祖父には、
俺のことが頼りなく見えるのだろう。
お前は、働いている彼女よりも、
成績が悪いのは何故か、
から始まって
根性も、粘り強さも無い。
どこにも勝ってるところはない。
祖父などは、
お前に会社経営など無理だから、
妹に優秀な婿を取らすか、
春のような起点の利く
パートナーを見つけて来い。
とまで言われた。
春ちゃんのような、
しっかりしたパートナー
そんなことは春には言ってないが。
祖父は、
小さな部品メーカーだった会社を、
専門性の高い技術に特化した
世界的なメーカーに育てた。
祖父も、父も技術屋だったのに、
俺は反発して経済学部に入った。