Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
実家に春を連れて行くと、
父と祖父は喜んで、母は不機嫌になる。


「お父様もいい加減にして欲しいわ。
あんな子を持ち上げると、
本気にしたらどうしてくれるのかしら」


春に対する母の印象は、
変ることは無いかもしれない。


母は、いつの間にか、
春の素性をどこからか入手して、
俺に普通の娘じゃないから、
近づくなと警告した。


「心配せんでも、賢い子だ。
相手の能力と、
周囲の人間の程度をを考えて、
うちに来るなんて言わないだろう」


「まあ、またそういう皮肉ばっかり
おっしゃるんですから」


「そうだ、春ちゃんは、
うちの会社に、面接に来るって言ってたか?」


「まさか。一番コネを嫌ってますから。
来るわけないでしょう」

はっきり聞いた訳じゃないから、
わからないけど。

うちの会社を受けるなら、春の方から
何か言ってくるだろう。


「そうか。来たら面白いのにな。
お前も、春ちゃんと同じように
少し他へ行って勉強してこい」


「ええっ?嫌ですよ」


「ダメだ。創業者の一族だなんて、
最初から天狗になる」

「本気ですか?」

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