Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「ん?なんか言った?」
春に言われて、急に我に帰った。
「由貴ちゃん遅いなと思って」
さっきメールが着てたと思って、
携帯を取り出す。
―今日はご馳走様でした!!今日は先輩に送ってもらってください。
健闘を祈ります。
春には、黙っていよう。
「そうだね」
「どうして、俺
春に対抗しようなんて、思ってたのかな」
「何の話?」
含み笑いして、その場をごまかす。
「ちょっと、そう思っただけ。
水割り?お代わりする?」
「あっ、ええ。そうするわ」
「俺は、酒でも勝ったことないか」
「そんなことないでしょ?」
「だいたい、君は俺といても本気を出さない」
「そんなことないって。
っていうより変でしょ。
どうかしたの?出張でなんかあった?」
春が、心配そうに俺の表情を読もうと、
顔を近づける。
「ああーっ大変だ。いろいろ思い出したら、
春に対する不満ばっか思い出す」
深々とした椅子の背にもたれる。
「何よ」
「今日は、俺の声がわからなかったし、
別の誰かと間違えた」
「よく聞いてなかったのかな。
いつもなら、そんなことないのに」
「会いたい人の声に
聞こえるんだよ。声って」
「ナオにも会いたかったよ」
「それって、
2番目に会いたいってことだろ?」
「順位なんかじゃない。たまたま、
口に出ただけ」
「関係なくないよ…
二番目なんて友達だから」