Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「一緒に帰ろう?タクシー呼ぶから…」
春が、お願いだからって顔で俺を見る。
なんで、春が謝るんだ?
でも、
結局、それで俺もうやむやのうちに、
妥協してしまう。
「いいよ、運がよければ、一人で帰れるさ」
春は、俺の体を支えてバーを出て、
俺がふらついたら、
春が、俺の体を後ろから支えてくれた。
思ったより、足元がふらついてる。
そりゃあ、勝負に何かならないさ。
最初から、わかってる。
何をやっても、
春は、優秀で祖父に認められてる。
春は、勝負何か考えるどころか、
俺より勝たないように、苦労してるんだ。
「もう、いいよ…止めてくれ」
「ナオ?危ないってば…」
それでも、春は、俺のそばを離れない。
春は、俺がフロントで
荷物を受け取ってる間、体を支えていた。
「まだ早いし、
電車動いてるから、
一人で帰れるよな。じゃあ」
そう言って、手を振った。
春を残して、一人でタクシー乗り場へ向かう。
今日は、ほんとに疲れていた。
「早く帰れよ」
と言って、タクシーの後部座席に乗り込んだ。
タクシーが、いつまでも出発しない。
「お客さん、どうされますか?」
「ナオ…行かないで」