Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~

「一緒に帰ろう?タクシー呼ぶから…」

春が、お願いだからって顔で俺を見る。

なんで、春が謝るんだ?

でも、
結局、それで俺もうやむやのうちに、
妥協してしまう。

「いいよ、運がよければ、一人で帰れるさ」


春は、俺の体を支えてバーを出て、
俺がふらついたら、
春が、俺の体を後ろから支えてくれた。

思ったより、足元がふらついてる。

そりゃあ、勝負に何かならないさ。
最初から、わかってる。

何をやっても、
春は、優秀で祖父に認められてる。

春は、勝負何か考えるどころか、
俺より勝たないように、苦労してるんだ。


「もう、いいよ…止めてくれ」

「ナオ?危ないってば…」
それでも、春は、俺のそばを離れない。


春は、俺がフロントで
荷物を受け取ってる間、体を支えていた。


「まだ早いし、
電車動いてるから、
一人で帰れるよな。じゃあ」


そう言って、手を振った。

春を残して、一人でタクシー乗り場へ向かう。
今日は、ほんとに疲れていた。


「早く帰れよ」


と言って、タクシーの後部座席に乗り込んだ。
タクシーが、いつまでも出発しない。



「お客さん、どうされますか?」


「ナオ…行かないで」
< 112 / 321 >

この作品をシェア

pagetop