Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~




会って話がしたい。
直接会って、顔が見たい。


何度かメールを送ったけれど、
ナオからの返事は返ってこなかった。



それから、ナオのマンションの前で
待ってみたり、

偶然出会わないかと期待して、
ナオが行きそうな、店で待っていたりもした。



ナオは、メールの返事もくれないどころか、
電話にも出てくれなくなった。



ナオは、私を避けようしてる。


どうしよう、
どんなに意見が合わなくて、
気まずくなっても、
連絡を取れなくなることなんかなかった。



私は、朱音のとこに行って、

ナオのことで相談に乗ってもらったり
してたけど、ナオの態度は変らなく、
どうしていいのか

分からない状態が続いていた。



「しようがないなあ。
ナオにあったらよく言っとくから」

朱音はそういって慰めてくれた。


バーの「Longing Love」
はナオとよく行った店だった。

カウンターが10席ほどと、
テーブル席が4,5席。



ナオの家にも、朱音の家にも
どちらも近いから、私が行くよりも
二人が店に、出かける頻度の方が多いのは、
知っていた。




でも、ナオと朱音が、
二人が並んで肩に腕を回しながら、
歩く姿を見たら、妙に二人の姿が、
合っていて納得してしまった。



店の少し離れたところから、
二人が並んで入っていくところまで、
私は、二人を見ていた。


仲良くて親しげで、
付き合ってるカップルみたいで。

二人とも、絵に描いたように似合ってる。


声をかけようと思って、
歩き出したのに、声が出なかった。

せっかくのカップルに
話掛けて、邪魔するのは
もったいない気がして。

ナオに、もういいって言われた気がして。

別れようとしてる女の子に向ける、
彼の、冷たい視線を浴びせられたら、
どうしようと思って。

ナオは、別に私がいても、いなくても、
まったく変らずにいられる。

朱音には楽しそうに笑いかける。

私、思い上がってたのかな…
私は、ナオの特別だって。

友達も、恋人も
朱音のほうが私よりもうまく出来る。

以前と変わりない、笑顔…
朱音には、ちゃんと向けられる。
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