Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「少し外、歩こうか?」
店を出てナオが言う。
にぎやかな、みなと未来とは、反対側。
縄のれんや、
赤提灯の店が並ぶ商店街を歩く。
桜木町の駅に向かって、
ナオがスタスタ歩いていく。
私もナオも学生の頃から馴染んだ町だ。
「ん?」
カップルじゃないし、
外に出て話をするなら、
店の中でよかったじゃないの。
といいかけて、やめる。
まあ、初夏の外を歩くには、ちょうどいい。
普段なら、お腹が満たされ、
のどの渇きも癒えたら、
用はないと言った具合に、
さっさと帰るくせに。
だらだら続く駅までの道を歩き、
どういう心境の変化だろうと、
私は、呑気に考えてた。
ナオは、いつもの駅を通り越し、
やる気のない私の背中を押して、
夜の海沿いの公園まで連れてきた。
結構、歩いたぞ、もう。
でも、それだけの価値はある。
観覧車に日本丸。
みなと未来地区の夜景がよく見える。
反対側の野毛地区と違って、
こっちは、眩いばかりの夜景に
目がくらみそうになる。
見事にカップルばっかりだ。
動く歩道のところで、
横道にそれて、
ランドマークタワーを見上げる。
華やかな景色を見ただけで、
テンションが上がる。
横浜の海は、
毎日と言うほど見ているのに、
下を向いてるせいか
ランドマークタワーを
見上げると、聳え立つように大きく見える。
潮風が気持ちいい。
「うわーっ。いい気持ち!
たまには、足を止めて眺めるのもいいな」
カップルっぽく。
私は、振り返ってナオを見る。
「行くよ」
ナオが後ろから私の背中を突っつく。
「えっ?ちょっと何でよ」
「こっち」
ナオは、人の流れから、
だんだん横道にそれていって
ほとんど周りに人が居ないところまで来た。