Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
ドアノブに掛けた手を押さえつけられた。
「こんなところで、何してる?」
「ちょっと、出かけてくるから」
落ち着いて言えた。
「そんな大きなバッグ持ってか?」
「ええ。ごめんなさい。
せっかく来てくれたのに。旅行に行くの」
「どこへ行くんだ?」
「ナオには関係ない」
「いいから、来い」
「ちょっと待って、離して」
彼は、車のドアを開け、
私と荷物を押し込んだ。
「早く乗って」
腕を引っ張られて、車に乗せられた。
「危なかった。
もう少し由貴ちゃんの電話が遅かったら、
会えないところだったじゃないか…」
「ナオ、近くの駅で降ろして」
「どこへ行く気だ?朱音のところか?」
「うん。だから、途中の駅でいいよ」
「何考えてる?朱音の所に、
そんな荷物要らないだろう?
まさか、実家じゃないよな」
「違う。新幹線に乗って名古屋に行くの。
久俊さんのところに。だから、邪魔しないで」
嘘がすらすら出てくる。
「正気か?」
「もちろん」