Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
私は、バッグを抱えて助手席に座っていた。
ナオは運転をしたまま、一言も話さない。
車は、品川あたりで幹線道路から反れて、
ナオのマンションの駐車場に入った。
「あいつのとこに行くなんて、嘘だろう?
どこに行くつもり?」
「ナオ?
嘘なんかいってない。
もう、覚悟を決めたよ。
話なら、ここで聞くから。
新幹線に乗るのに、あまり時間が無いの」
「行かせるわけないだろ?」
「ナオには、そんな権利ないよ」
「ずいぶんな言い方だな。
どうして、そんな態度取るんだ?
俺が何かしたか?」
「何もしてない。だから、
ナオに謝ってもらうことは何もない」
無視することなんて、罪にはならない。
その通りだ。
「ちょっと待て、怒ってるのか?」
「怒ってるんじゃない。
ただ、手を離して欲しいだけ」
「本気か?本当にあいつのとこ行くのか?」
ナオの手が私の腕を放した。
「うん。送ってくれてありがとう」