Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
いったい、何だ?
と思ったけれど、
好意を持たれてる相手ならともかく、
あのナオ相手に、自分が何かされるなんて、
夢にも思わなかったから、
なんの警戒もしてなかった。
人の流れも途切れ、
さっきまでの賑やかさが嘘のよう。
国際展示場の方は、ずっと静かだった。
何で、わざわざこんなに人気のないところに?
ひょっとして、
人に聞かれたくないほど、深刻な話?
どんな話だろう、
私は、ナオにとって、
ちゃんとしたアドバイスできるかな。
どうしよう、心の準備が…
「あのさ、さっき言ってただろ?」
大きな声を出さなくても、
普通に聞こえる距離にナオがいる。
「うん…」
「何となく違うって感じるって…」
ん?
「付き合う相手に対してだっけ?」
私は、ほっと息をつく。
ナオの表情を見ると、
そんなに深刻ではなさそう。
「まあ、そんなとこ」
でも、ほっとしたのと同時にイラついてきた。
だって、女の子は、ナオと付き合いたくて、
列をなしてるのに、
ナオはそのうちの、どの子と付き合っても、
しっくり来ないなんて悩み、
私に聞かれても困るもの。
ナオなんて早く、
勝手に誰かとくっついて
仲良くすればいいじゃないの。
わざわざ、
こんなところでしなければいけない話?
「ねえ、私の考えを聞いて納得しても、
仕方ないんじゃない?
それが本当の答えとは、限らないんだし。
だいたい、あんたは、
私の意見なんて、どうだっていいのに」
ああ、面倒くさい!!
28歳の彼氏のいない女、
捕まえてなに議論してるのよ。
ナオは、冷静に私の顔をじっと見つめている。
「何よ」
「やっぱ、お前面白いな」
なぜか今日のナオは、
私の反応を見てばっかりで、
話なんかどうでもいいって感じがする。
「ちょっと、ナオ、人の話、
ちゃんと聞いてるの?
私の意見なんか、
最初から聞くつもり無いくせに」
だいたい、
いつも、私に会う前に
結論を出してるんだから。
「聞いてるよ。これ以上ないくらい素直に」
やれやれ。何のゲームよ。
もう帰るよ。もう疲れた。
家に帰って湯船につかりたい。