Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~


ナオと付き合う。
…ってやっぱりどうなんだろう。


もちろん、ナオに不安がある訳じゃないし、
不満がある訳じゃない。


あんなに熱を帯びたようなのは、
ずっとは続かないんじゃないか。


ナオのそばに10年もいたけれど、
一緒にベッドに入ったのは、初めてだし。


ナオに恋し始めて、
願いが叶った女の子は、
誰も幸せそうな顔で、
ナオとのやり取りを一部始終報告してくれる。



『ナオったら、
君は、これまでの子と違うっていうのよ!
ある、私、本当にナオの特別になったんだ』



問題は、最初の頃の気持ちが、
半年も続かない事だ。


大学の長い休みの後では、
ナオの興味は、また、
別の女の子に向いている。



『あの子、学部どこかな、
ほら、今、笑いかけてくれた子』


『そう言えば、秋から付き合ってた、
ポニーテール子は?』



『さあ、私を好きでいてくれてる人は、
他にもいるって、泣いてたから、
じゃあ、そいつのこと大切にしなって、
慰めたよ』



『ナオ、それ、
その女の子が期待した返事じゃないでしょ?』



『だって、俺じゃない、
他に心配してくれる相手がいいなら、
そいつのとこにいけばいいじゃないか』



『それは、最もだけど、
ナオはどうなの?
好きで一緒にいたんじゃないの?
そんなふうに簡単にあきらめて…』



『春は、どうなの?あんな、薄っぺらな男
魚みたいなキスするような、
面白味のない男とよく付き合うな』



『魚みたい?ナオ!ちょっと、
何てこというのよ。
人の価値はキスなんかで、
はかれないでしょ!』


『春、どこがいいのか、わからないね? 
がり勉眼鏡の、魚みたいなキスなんか』

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