Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~


ドアがノックされた。


「雪乃だろ?入って」



「初めまして…」

小さな、やっと聞き取れるかなっていう声だ。
緊張してるのがわかる。

見た目も悪くないのに、妹の雪乃は極端に人見知りする。
今回もどうだか。



「雪乃?家庭教師の先生だよ」



祖父は、雪乃にお辞儀をさせ、
挨拶もさせた。



「雪乃?先生の都合を聞いて、3人で調整すればいい」


じいちゃんは、そう言って出て行った。



じいちゃんがいなくなってから、俺は
他の二人に言った。



「家庭教師なんて、
まじめにやらなくても、
振りだけして金だけもらっておけば?」



恩田春妃も、
楽してお金が稼げればそれでいいだろうと思った。
ここに来る、大半の家庭教師にもそういう。



「でも、それは、あり得ないから。そんなことしたら、
あなたのおじいさんの期待を裏切ることになる」


恩田春妃は、俺に信じられないって顔して、
向きになって答えた。

マジかこいつ。



「何で裏切るんだ?」


「期待してなきゃ、おじい様も、
何とかしよう何て思わないでしょ?
それに、期待されてるのは、高城君だけじゃないの。
わかったら、ずるするのはあきらめて」


彼女は、雪乃にも笑いかけた。

「びっくりさせてごめんなさい。
とりあえず、スケジュールの確認しなきゃ」




「くそまじめだな。いいのに。
そんなにしなくても」



雪乃が笑い出した。


「お兄ちゃんは、
してもらう必要があるでしょ」


「雪乃、うるさい」


「私は、必要ない。塾で十分」


「後で、成績表見せてね。それから判断します。
本当に必要ないと思えば、断るから。
高城君は、どうする?」


「もし、やめにするとしたら?」


「お祖父様に正直にいいます」
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