Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
恩田春妃が、
家庭教師として家にくる日は、
家にいても、外に出ても落ち着かない。


この間のこと、謝ろうと思ったのに。


話しかけようと、部屋の中で、
彼女を待っていたら、
結局、タイミングを逃してしまって、
恩田春妃と話せないまま、
彼女は帰ってしまった。



春が帰った後、雪乃の部屋に行った。


妹は、極度に人見知りするタイプで、
家庭教師も何人も替わっていた。

だから、半分以上の確率で、
雪乃は断るだろうと思った


大学の友人も、何人か教えに来たが、
雪乃は、教えてもらうくらいなら、
自分で勉強した方がいい、
と言って納得しなかったのに。



だから、勉強中の部屋から、雪乃の
楽しげな声がするのは、信じがたかった。


「お前、家庭教師なんて必要ないって
言ってなかったか?」


「うん。でも、春妃は別だから」


友達の事を言うように話す。
俺も、友達が褒められて嬉しいと思った。


「なんで?」


「ないしょ。お兄ちゃんはすぐしゃべるから」
わかるよ。誰だって、春妃と話すのは楽しいさ。

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