Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~


昼飯を食べようと、
大学を出たところ、
春妃の方から近づいててきた。



「高城君、これからお昼?」


「そうだけど」


「外で食べるの?」


「悪いけど、学食はごめんだよ。
人でいっぱいだし、
知り合いがよって来て話ができないから」


「そうなの?」
春は、残念そうに後ろを見る。



春妃は、
自分の知らないことを話題にされると、
少し、不安げな顔をする。


それを、大げさに煽るのが最近の俺の楽しみだった。

『プールバーって知ってる?
プールに入って泳ぎながら酒飲むんだぜ』とか、

春妃が目を丸くするのが面白くて、実際に連れて行った。

『高城君、ひどいじゃない!!水着もってこいだなんて!!』

『ここで水着、着たっていいんだぜ』

『ビリヤードならそういってくれればいいのに』

『言ったらつまらないだろ?』

『どうせ、田舎者だってからかってるんでしょ?』

『ああ。普段、偉そうに先生面してるからな』

『そ、そうだっけ?今度から、気をつける』

『いいよ、冗談だから』

春妃は、なんだあ、といって笑いかける。
俺は、いい笑顔だと思う。
こんな顔が見られるなら、何でもしてやるのにと思う。

春にビリヤードを教え、
ちょっと気取ったバーで酒を飲むことを教える。

春は、なんでも吸収するし、
ものすごい勉強家だから、
俺のにわか知識なんかすぐに追い越してしまう。



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