Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~


「実はね…雪乃ちゃん、
うちの中等部じゃなくて、
別の学校を目指すの」

「ええっ?別の?なんで?」

「うちの大学には、行きたい学部がないから」

「行きたい学部?」


「ええ。医学部」

「あいつ、医者になりたいの?」

「そうよ。だから、
お兄ちゃんがしっかりして、
会社を継いで欲しいそうよ」

「はいはい。で?
何で、みんなに内緒なんだよ」

「多分、家の人は、雪乃ちゃんにも、
会社で働いて欲しいんでしょ?」


春は、言葉を濁したけど、
雪乃が会社に入らないという事は、
代々続けて来た、技術者が社長になってきた、
伝統みたいなものがあって、
それが途切れるということだ。



俺は、それには当てはまらないから。

「雪乃は?」

「会社を継ぐ気はまったくないって」
そりゃ、まずいだろ。
< 169 / 321 >

この作品をシェア

pagetop