Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「実はね…雪乃ちゃん、
うちの中等部じゃなくて、
別の学校を目指すの」
「ええっ?別の?なんで?」
「うちの大学には、行きたい学部がないから」
「行きたい学部?」
「ええ。医学部」
「あいつ、医者になりたいの?」
「そうよ。だから、
お兄ちゃんがしっかりして、
会社を継いで欲しいそうよ」
「はいはい。で?
何で、みんなに内緒なんだよ」
「多分、家の人は、雪乃ちゃんにも、
会社で働いて欲しいんでしょ?」
春は、言葉を濁したけど、
雪乃が会社に入らないという事は、
代々続けて来た、技術者が社長になってきた、
伝統みたいなものがあって、
それが途切れるということだ。
俺は、それには当てはまらないから。
「雪乃は?」
「会社を継ぐ気はまったくないって」
そりゃ、まずいだろ。