Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「なに、言い出すのよ…」
ナオの腕をすり抜けて、
ナオから逃れようとした。
「やっぱり、キスの方が高いよな…
じゃあ、ハグか」
「ええっ?ちょっと!何するの」
ナオは私の体をヒョイっと抱き上げ、
向きをかえ、
自分の腕の中におさめた。
彼は、
お互いの体が、隙間なく密着するように
腕を引き寄せる。
一瞬のことで、
いったい、何が起こったのかわからない。
目の前がくらくらする。
「春妃?俺、ずっとこうしたかった…」
ふわっとした感覚から、
ぎゅっと力強く抱きしめられた。
世界全体が、ナオの体、
ナオの匂いに包まれた。
お互いの胸がくっついてる。
ナオの顔が、私の顔のすぐ横にある。
私の心拍数の方が、異常なほど速く脈をうつ。
「うん、いい感じ」
ちょっと、こんな時によく口が聞けるのね。
いい感じ?
そんなわけ無い。
グラビアアイドルみたいな女の子
連れてたじゃない?この間。
「どのへんがよ?」
いいわけないじゃない。
この薄っぺらい体が…
「抱いた感じ」
ほら、やっぱり、適当なこと言ってる。
うそに決まってる。そんなわけ無い。
「どこがいいのよ」
「春はどうなんだよ、
今までのやつと比べて」
「ふっ、普通かな…よくわかんない」
何でもいいから、
早く離して心臓が持たない。
「何が普通だよ?わかれよバカ」
ナオの体がいきなり離れたと思ったら、
ナオの顔が目の前に現れた。
「バカって何よ?」
私も、ナオから離れようと
腕を突っ張ったら、
逆にさっきより強く抱きしめられた。
「春さあ、その何でも、
物事を確かめようとするの、よくないよ。
特にこういうときはね」
耳元で言わないでよ、ナオ…
「そう、わかった。
忠告ありがとう…もういい?」
「ダメ。ハグしたら次は、チュウだろ?」
「はあ?冗談はやめて」