Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
彩夏の母親と、家の母は、
母親同士が仲がいい。
ずっと前からの知り合いで、
小さな頃から一緒にされていた。
高校で、校舎が別れたから、
その間は静かにしていたけれど、
俺の姿を大学で見かけると、
場をわきまえず話しかけてくるから、
彼女が来ると、
いつも忙しい振りをした。
俺がそう言っても、彩夏は引かなかった。
「何の話だよ?」
「妹さんの家庭教師のことで」
俺が答えないから、
代わりに春妃が答えようとする。
いいよ、こんなやつに、
真面目に答えなくても。
俺の家庭教師と言わないでくれた事は、
感謝しなきゃ。
事情を聞いた、彩夏が言いだした。
「雪乃ちゃん?だったら、私やったのに…」
「はああ?雪乃を教えられるだけの、
腕はないだろ?君には」
彩夏が、黙って下を向いた。
「酷い…」
「じゃ、えっと、私はこれで失礼します…」
「おい、待てよ…」
逆に春が、席を立って行ってしまった。
もっと詳しく聞き出したかったのに。