Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
通りを歩くだけで、
ナオに話しかける人がいる。
知り合いから、見ず知らずの女の子まで。
ナオといるとそういうのにも疲れた。
横浜の街を少し歩いただけなのに、
もう、何人かに挨拶をした。
「高城君?久しぶり!」
そのために、少し道端で立ち止まる。
まあ、ほとんどが、女の子だけど。
中には、私が彼女だと思われず、
「これから、食事しない?」
過去の余計な話をしかけて、
ナオに止められた人もいた。
ナオは、港が一望できる、カフェに入った。
彼は、オープン席を選び、
夕方のこれから少しずつ
暮れていく空を見ようと言った。
「夢みたいだ」
真面目な顔で、ナオが言う。
「どうして?
こんな風にカフェで向かい合って座るのは、
珍しくないじゃない」
私は、何気なく答える。
「何度も来たけれど、
どんなときも、恋人としてじゃなかった」
「変な言い方。それじゃ、
まるで前から恋人になりたかったって、
聞こえるわよ」
「そうだよ。二十歳の時かな。
あの時には、既に、
こう言う感情は持ってたよ。
今から考えれば、
あの時はもう、俺、春のこと好きだった」
私は、驚いた。
驚いて、動揺を隠せなかった。
「そ、そんなはず、無いじゃない…」
私は、軽いめまいに襲われた。
そんなはずないよ。ナオ。
だったら、何で私を拒否したの?
ナオ?
説明して…