Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
重なってた唇が離れて、
また軽く触れてくる。
まるでもてあそぶように。
「んうっ 止めて…」
何度も、何度も。
こんなの普通にキスされたほうがましだ。
ナオのきれいな顔が、
目の前に大きく広がって
そしてまた、近づいてくる。
息づかいが、荒くなり、キスも深くなる。
ナオの手が、下に下りてきて
私の体の輪郭をたどるようにさ迷う。
唇が触れ合う度に、体がピクッと跳ねあがる。
心臓が止まりそう。
ほんとに止まるかもしれない。
キスした相手が、心臓麻痺で死んだりしたら、
ナオは私のこと、死ぬまで忘れないよね…
夢の中では、私はナオとキスを交わしていた。
もっと情熱的だったこともあるし、
恥ずかしい姿だったこともある。
でも、現実は違う。
夢なら、目が覚めたらすべてなくなるし。
私、本当にナオとキスしたんだ…
んん?
キスに気をとられてたけど、
ナオ?ちょっと、
どこ触ってるの?
ナオの手が、
胸の上でピタリと動きを止める。
やだ、これは現実だ…どうしよう
ナオ、私の胸なんか触ってどうするの?
少し、ボリューム感に欠ける…
じゃなくて…
私は、平常心を取り戻すために言った。
「たいしたことない…かな
案外、普通のキスね」
ナオの目が大きく見開く。
「お前、今、何て言った?」
「何でもない」
の割には、息が上がって苦しいほどだけど。
ナオは、私を睨み付けたまま、
それ以上、
顔を近づけようとはしなかった。
とろけるようなキス…
どんな風に、ナオは、
女の子にキスしたのだろう…
私は、ナオと付き合った女の子の
相談係だった。
もちろん、好きでやり始めたわけじゃない。
学生だった頃、
ナオと付き合った女の子が、興奮気味に
よく私のところに事後報告に来た。
彼女達に悪気があるわけではない。
ナオを知っている、共通の知り合いの女子は、
朱音と私だが、朱音はそんな話をするのに
不向きなのは、すぐにわかる。
だから、
みんな、私のところにやってきた。
『それはもう、
最高なのナオのキスったら!!』
これは、どんな子でもそう言った。
目を輝かせて。
『ホント!!彼のキスって、
まるでとろけるよう』
何人もの女の子達にそう聞いた。
私は、彼女たちの話を聞くばかりで、
その、うっとりしている横顔を、
羨ましいと思って来た。