Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「春、着いたよ。歩ける?」
「ナオ…ごめん、ちょっと待って」
具合悪そうだ。
「いいから、そのまま待ってろ」
助手席に回り、ドアを開けてやる。
「ナオ、歩けるから」
「おぶってやるから、背中につかまれよ」
春の前にかがみこむ。
「重いよ」
「重くなんかないよ」
「でも…」
「もう、ゴチャゴチャうるさい」
俺は、春の腕をつかんで背中に担いだ。
荷物を一緒に運ぶのは無理だけど、
春一人なら何とかなりそうだ。
「ナオ?」
「ん?」
「酷く気分が悪いの」
「なるべく揺らさないようにするから、背中に吐くなよ」
エレベータホールで待っている間に、春妃の様子を見る。
「大丈夫か?」
「あんまり!大丈夫じゃない」
「春妃が気にする事なんかないんだ」
「わかってる。ただ、努力でどうにもならないこともあるんだな」
呟くようにいう。
軽く否定するのは、簡単だけど春が何に傷ついてるのか、聞いてからだと思って、俺は、すぐに返事をしなかった。