Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「送っていくよ」
「何? 今、何て言った?」
送ってく?
やっぱりおかしい。本当に変だ。
今までなら、どんなに酔ってても、
大丈夫かって声かけるくらいで、
私が、ベンチで寝ようが、
ゴミ箱に抱きついていようが、
気にも留めなかったやつなのに。
私は、お尻の埃を払い、
身だしなみを整えてから言う。
「いいよ。ありがとう。
でも、今までも、
そんなことしてもらってないし、
普段、仕事で帰るのはもっと遅い時間だから」
「可愛くないな。お前」
「可愛くないのは、昔からだよ。じゃね」
結局、ナオは、私を家まで送ると言い張り、
横浜での乗換えを頑固に拒んだが、
家まで来てると、
終電がなくなると説得されて、
ようやく、自分のマンションに
向かう電車に乗っていった。
「何なんだ、まったく」
ナオらしくない。
心臓がまだどきどきしている。
気持ちが高ぶって、おさまりがつかない。
どうしよう。
ほんとに、どうしたらいい?
私は、ナオと別れてすぐ朱音に電話をした。
朱音も同じ大学で、
ナオのこともよく知っている。