Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~

「俺は、お前のこと好きだから、
一緒になって、ここで暮らそう。
まったく。
お前一人で来ると思ったのに。
お袋が余計なこと言いやがったから、
男なんか連れて来やがって」


「急に、どういうこと?
お金返せだなんて。
拓也、そんなの無理…ちょっと待って…
いや。お金なら、働いて返すから…」

私は、頭が混乱してきた。

「どうするの?すぐに返せるのか?
こっちだって余裕があるわけじゃない」


「そうよね。
待って…、ダメ。何とかするから…
ごめん、今そんな話されても…
お願い、病院連れてって」

口座の残高、それから、
アルバイトを増やして、どうにかしよう…
色んな考えが、頭に浮かんだ。



「あいつには、すぐに帰ってもらえよ」

「えっ?」

「春の面倒を見るのは、俺だ」

いつの間にか、背中に腕を回されていた。

振りほどこうとして、余計に引き戻される。


病院について、建物の中に入った。


ロビーで、高城君が待っていた。


「遅かったね」

「うん、ちょっと話があって」

「話?」

「従兄弟なの」
拓也が、高城君を睨み付けると、


「春妃こっちだから」
と私の腕を引っ張って、
病室へ向かうエレベータに押し込む。

拓也がドアを閉めようと、
ボタンを押そうとしたところに、
高城君が入って来た。


拓也は、高城君から、
私を遠ざけるように壁際にやった。


「ちょっと、何するの?」
まるで私が、拓也の女だと、
勝手に決められたみたいで、
嫌だった。


体ばかり大きくて、
嫌みばかり言ってきた従兄弟が、
私の事を好きだって言い出した。

訳がわからない。

前から、私が進学することが
気に入らなかったけど、
それが、どうして借金を帳消しにするから、
一緒に住めって事になるの?


私は、ここを出る前の、
何も出来なかった子供じゃない。


よく考えて。

何とか方法はあるはず。

大丈夫、きっと乗り切れるから。


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