Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
私の記憶の中でも、
父が頼りになった事はない。
いつも、何かから逃げるみたいに、
お酒を飲んでいた。
病院のベッドに寝かされた父は、
年を取っていて、記憶の中にある父より、
さらに頼りなく見えた。
「春ちゃん?」
母が、部屋の入り口にいた
私たちに気がついた。
私は、母に近づいて肩を抱いた。
「ずっと、この調子なの。
体がだいぶ弱ってるんですって」
「うん…」
私は、父のもとに行き、手を握った。
強く握り返しても、何の反応もない。
「とうさん?」
呼んでみても、返事は返って来ない。