Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
ホテルに帰って、食事を取り、
春と車で湖を回った。
観光コースを歩くには、残念なことに、
時間が遅すぎた。
春は黙って湖面を見つめていた。
「今度、来るときはもっとゆっくりしよう」
「うん、でも…
次は、無いかな。
ここには、帰る理由なんてないもの」
それは、一時的な事じゃなく、
春の決意のように感じた。
春は、
出来るだけ、目の前の景色を
記憶に留めておこうとしてる
みたいだった。
日も暮れかけて、
湖面がきらきらと光り、
やがて薄暗くなり、湖面が光を飲み込んむ。
次第に辺りが暗くなった。
真っ暗に見える湖が、不気味だった。
車を駐車場に止め、春はホテルを見上げた。
「でも、このリゾートホテルに
泊まるのは初めて。
ここは、お城みたいに、
普通の人が、泊まるところじゃないって
思ってたの」
「そうだよな、
近すぎて泊まったりしないもんな」
春は、笑った。
「うん。そうだね」