Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「春妃さん、さっきも言った通り、
雪乃は医学部に行って、
家業を継がないことになりました。
だから、直哉が継ぐことになったの。
直哉の相手には、
しかるべき相手が必要だと思うの」
十年近く経っても上品なお母さんだ。
でも、中身は…
息子のことが全然わかっていない。
ナオと彩夏をくっつけようと、
未だに思ってるんだろうな。
「そうですか。
私のことを心配してくださって、
ありがとうございます。
でも。私ナオと将来を
誓ったこともないですし、
そうおっしゃられても困惑するだけです」
「まあ、まったく直哉とのこと
考えてないの?」
「そうは言ってません」
「あなた、偉いわよね。
人に頼らずに何でも出来て…、でも、
あなた自身はすばらしいけど、実際、
結婚して高城の家に入ると、
まずいことになるわ」
「わかってます」
「じゃあ、
あなたちゃんと、引き際もわかってるわね」
「直哉さんが別れようって言ったときです」
ナオの母は、じはらく私を睨み付けて、
ラチがあかないと言って、帰って行った。