Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
最初は、朱音といる、
ただの田舎から出てきた女の子だった。
春のこと、まだ、よく知らないうちは、
朱音は、何であんな地味な子と
いるのだろうと不思議だった。
彼女と話すようになって、見方が変わった。
生活費を稼ぐために、
寝る間も惜しんで、
バイトを入れてるくせに、
差し伸べた手を取ろうとしない。
あんな環境で、よくまっすぐに生きて
こられたのか不思議だった。
なんで、腐らないでいられたのか
興味を持った。
祖父が彼女を気に入って、
春と俺は、入れ替われば
祖父は満足するといったときも、
春は、真面目な顔して言った。
「高城君、それは、
おじい様の真意じゃないでしょ?
おじいさんは、私が可愛いんじゃなくて、
あなたに奮起して欲しいから、
引き合いに、私のことを持ち上げるだけだよ。
高城君より、私のことを思ってるわけないよ」
春のまっすぐな視線。
本当にその通りだ。
春の口から、言われて
じいちゃんの気持ちを受け取れる。
春は、何時も適切だし、暖かい。
春の目が、次は何を見て、
何を考えてるのが気になる。
学生のときですら、
車を買い替えるための資金なんか、
全部春に渡しても、惜しくないと思った。
このまま会えなくなるのは、嫌だと思った。
春を失いたくない、と思っていた。
だから、君が
大学で、腕を組みながら
他のやつと、歩いてるとこみたのは、
信じられなかった。
「でも、あの時、俺は、
君のこと好きだったなんて、
夢にも思わなかったから、
君に理由も分からずに
すごく腹を立てていた」