Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
ナオの家に行って、
食事の支度を進めながら、
どうすべきか考える。
プロジェクトが始まれば、
帰りがすごく遅くなる上に、
係長と行動してる上に、
一日中一緒だなんて、とても説明出来ない。
先の事だとはいえ、
頼まれた資料を見てただけで、あの様子だ。
詳しく説明しても、心配かけるだけだ。
係長は、プロジェクトで一番忙しい人だ。
その人の下につくと、
自分のペースで仕事が出来なくなる。
だいたい、係長の下にいて、
わからないことだらけだなんて
言っていられないはず。
もう、何もかも投げ出して、
荷が重いと言って、辞退してしまいたい。
考えがまとまらないうちに、
ナオが帰ってきた。
何か違和感がある。
また、同じだ。
今週も、今日が初めてではない。
他のスーツにも、匂いがついて、
クリーニングに出したところだ。
煙草の匂い。
しかも同じ銘柄。
ナオは、煙草は吸わない。
でも、この匂いには、覚えがある。
「お帰りなさい、ナオ…
朱音に会った?」
ナオが驚いた顔をする。
「いや…どうして?」
「ただの当てずっぽう、なんでもない」
私も、朱音の吸ってる、
煙草の匂いがするからという、
言葉を飲み込んだ。
ナオは、スーツの袖を鼻にあてて、
匂いを嗅ぐ。
「そうかな?
それだけで、どうしてわかるの?」
「ほんとに、ただの思いつきだって…」
朱音のは、特別。
珍しい銘柄吸ってるの。
ナオ?
隠さなくてもいいのに、
朱音に会ってたんだよね?
今週に入って、何度も。