Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
いつの間にか深夜になっていた。


仕事を終えて、ナオが帰ってきた。


「春妃?来てたのか?」


ナオが駆け寄ってきて、
ソファに居た私を抱きしめる。


「電気もつけないで、何してるの?」


「ちょっと夜景を見てたの。
きれいだったなと思って」


私の目には夜景は映ってなかったけど、
窓のほうは向いていた。



「そう…疲れてるね?横になる?」


私は、首を横に振る。
ナオは、自分の額を私の額にくっつけ、
熱は大丈夫とつぶやく。



「食事作りかけだった…」
体を起こそうとする。
ダメだ。ふらついて、料理どころじゃない。


「何?これ」
ナオが見てるのは、目の前にある紙袋。


「お母様から…」


「お袋?まさか、ここに?」


「いいえ。ここにきたのは彩夏さん。
お母様じゃないわ」



ナオの腕に力が入る。


「彩夏が?なんでうちに?」


「気づかなかった?
合鍵使って、お母様がここに来させてたのよ。
わるいけど、洗面所を荒らしたの
私じゃないわよ。

それだけじゃない…
この家の家具、朱音が選んだんだね」



家具なんて異分子、朱音の好みなら受け入れるんだ。
ああ、どうして今まで気づかなかったんだろう。
ナオは、隠そうとしてなかったのに。



「家具?そんなの、
ずっと前のものじゃないか。
それが、どうかしたのか?」

「朱音の家具は、置いても気にならないんだね。
ああ、もうダメかも…ナオ
ごめんなさい…私、
あなたの言葉が、みんな嘘に聞こえる…」


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