Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「どうぞ」
朱音に招かれて、社長室に入った。
中には、朱音が一人でいた。
朱音は、しばらく前に社長に就任していた。
とても落ち着いたインテリアで、
社長室って豪華なんだなあと思う。
でも、こういう部屋は、
年配のいかにも、
社長という風采の人物の方が似合う。
「その顔、何かあったみたいね」
「うん…」
朱音が心配そうにのぞき込む。
「教えて欲しいの」
「何?ナオのこと?」
「うん」
「何を知りたいの?」
「朱音、ナオと付き合ってたの?」
「急に、何をいいだすのよ」
朱音が驚いた。
なら、これは本当のことなんだろう。
「学生時代、付き合ってたのよね」
別れた時、
ナオがひどく荒れたのもそのためだ。
「それがなんだっていうの?」
「そのことは、どうでもいいの。
私が知りたいのは、
どうして、あなたたちが、
うまくいかなかったかっていうこと。
朱音から別れるっていったの?」
「違うわよ。
ね、こんな前のこと、
どうしようって言うの?
どうでもいいことでしょ?
わかった、春にとっては、重要なのね。
話すから、急かさないで。
うまく行かないも何も、間違ってたのよ。
ナオも、私も。お互いが悪かったの。
春?どうしたの?おかしいよ。
ちょっと冷静になって」
「私は、冷静よ。でも、ナオとのことは、
過去の事じゃないでしょ」
こんなにきれいで完璧な女。
他で代用がきくわけない。