Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「行くぞ」
ナオが、私の手をつかむ。
後ろで、ナオが急かす。
ナオは、私の手を握ったまま歩いた。
こんな風に街を歩くのは、
初めてかも知れない。
私が、遅れると腕を引いて背中を支える。
手をつないで、街を歩く。
マンションに帰る間、
ナオとは、話をしなかった。
でも、こんな風に、
ナオが無理やり、私に、
何かをさせる事はなかった。
恋人同士が普通していることで、
私達がしていないことが、
結構あるなと思った。
家に着くと、
「朱音に会いに行ったのは、なぜ?」
「話がしたかったから」
「どうして、俺じゃない?
話なら、先に俺に話すべきだろう?」
「まず…朱音に聞きたかったの」
「何だよ、それ。何で避けるの?
部屋には居たがらない、電話にも出ない。
おかしいだろう?」