Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
ナオから否定的なことを言われて、
私は、この方が、
シックリくるだなんて思っていた。
電車の窓ガラスに、
おでこをくっつけて倒れそうになってる体を支える。
ナオと思いが通じているなんて
状態の方が普通じゃないのだ。
失うのが怖くて、
気が狂いそうになるより、
恨みごと言われてほっとするなんて。
本当にどうかしてる。
電話だ。
「ナオ?
心配してくれたの?」
―春ちゃん、今どこ?
ナオだと思ってとった電話は、
久俊さんからだった。
私は、また相手を間違えた。
「久俊さん!どうしたんですか?」
―ちょっとね、君の声が聞きたくなって?
「はい…」
―今、どこにいる?
私は、これから、
アパートに帰るために、
電車に乗っている所だと言った。
―そのまま…動かないで。
ねえ、賭けをしよう。
もし、今すぐに、
君のことつかまえれたら、
今夜一晩、一緒に居てくれる?
「なに言ってるんですか?
久俊さん、名古屋でしょ?
どうやってつかまえるんですか…」
ーいいから、約束するの?しないの?
「いいですよ。早くつかまえてください」
ーそのまま、動かないで。
じいっとして…
「春妃!」
次の瞬間、誰かに腕をつかまれた。
体が引っ張られ、
私は、誰かの腕の中に抱きしめられていた。
久俊さんが、立っていた。
私を腕にしっかりと抱いて。