Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「ほら、ちょっと前にあんた、
会社の人に、
プロポーズされたって言ってたじゃん、
それ、ぽろっとナオに言っちゃった」


朱音は、2本目の缶ビールの
プルタブを引いた。

思い出し笑いしてるのか、
顔が嬉しそうだ。


「それがどうかしたの?
どうして?そんなことで、
ナオが態度を変えるのよ」


朱音は、ようやく笑いをこらえた。
「まずいと思ったんじゃない?」


「何? 3人の中で先を越されるのが?」

よく冗談で、
誰が先に結婚するかという質問だ。



「ねえ、それ、冗談で言ってるなら
笑えるけど、マジでそう考えてるでしょう?」


朱音は、私の事を可愛い、
と言ってクッションごと抱きしめる。


「割と。そうかも」
というより他に理由が見つからない。



「あいつ、相当ショック受けてたよ」


朱音と目が合った。
なぜか、本当に何か楽しそう。


「やっぱり?
ちょっと、まずいって思ったんだよね。
ナオに報告しなかったの。

いつもなら、何でもナオに相談するのに。

そっか、それで怒ってるんだな。

本当にそれだけだから。
ナオにはちゃんとフォローしておくか」



ほっとした。そうだよね。

こんなに頻繁に会ってるのに、
まったく相談しなかったら
気分を害するよね。


「さて、どうしようか。
なんて話したらいいかな、
説明するの遅くなってごめんかな…」


「春ちゃん、気にするのそこなんだ。
ナオも苦労するね。
まあ、私は見てて、楽しいからいいけど」


やっぱり、朱音のとこ来てよかった。

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