Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
何をしたらいいのか、
他に浮かばなかったし、


春妃の顔を見たいと思ったから、
直接会いに行った。


すぐにつかまるはずの春は、
まったく居どころがつかめない。


連絡しても、留守電ばかりで、
アパートに行っても、
春がいる気配もしない。


朱音の不安がうつったみたいに、
心配になってきた。

「そんなに、会いたくないってこと?」

その日も、
次の日も、春の居所がつかめなかった。



それから、しばらくして、
決心して、会社まで、出向いた。
会社の受け付けに名前を告げ、
春が来るのを待った。


「ええっ?」


けど、来たのは春ではなく、男性だった。



「高城さん?初めまして。前野です」
丁寧にお辞儀をされた。


わけがわからず、男の顔を見つめる。
にこにこ笑っているが、隙のない人間。

ビジネスの相手にこういう人が来たら、
用心すべきだ。


「すみません、恩田の代わりに、
お話させていただきます」

やたら丁寧で、やたら穏やか。
でも、自分の要求は一切譲らない。


初めて俺、負けるかもと思った。

何をしても、彼の先には行けない。
そんな気にされた。
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