Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~



朱音が、久俊さんの話を始めた。
いきなり、どうしたんだろう…


朱音には、彼が名古屋に転勤になって、
そのまま別れたと説明してあった。

それとなく、ごまかしたつもりなのに、
朱音は、まったく騙されてくれない。



「ええっ、あんたそれ、
ちゃんと別れてないんじゃないの?」


朱音の低めの声が心地よい。

言ってる内容は、深く追求しないで
気がつかないでくれると
ありがたいんどけど。


「ちゃんと別れたよ。今でも電話で話したり、
時々、会ったりしてるけど」


「会って何してんの?」
そんな、ストレートに…


「アパート寄って、話して帰っていくよ」


朱音が興味を示した。


「春妃のアパートに?
じゃあ、まだ続いてんだ」


あの狭いアパートに二人で居て、
何もないわけない、
と朱音は思っているだろうな。


「続いてないよ」


「寝てるってことは、続いてるじゃん」


「寝てないよ。だって別れたんだもん」
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