Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「朱音、おいしかった。ありがとう」

「うん」

「今日は、どういう理由で
誘ってくれたのかわかるけど…」


「わかるけど?何?」
俺が途中で口を出したので、朱音に怒られた。


「春妃?私達、会って話をするのに、
いちいち理由が必要だったことある?」


「いいえ。無いと思う」
春は、朱音の顔を見て答える。



「だから、誘う理由なんて考えないで」


「うん」
短く春が答えた。



「三人で会うのは久しぶりだな」
俺は、時間稼ぎで言っただけだったのに、
余計なことを言ったと後で後悔した。


「私なんか、呼ばなくても二人で
仲良く過ごせばいいのに」



「そんな言い方止めなさい」
朱音がイラつきながらいう。


「どうして?私がいる理由なんかないのに」


「いつもそうやって、親しくなりたい、
距離を詰めたい人間を、
拒否してるのわかる?

拒否をされて、傷つくのは、
あなただけじゃないのよ」



「何のこと?」


「ナオと私のことよ。
拒否されてすごく傷ついてたわ」


春は、驚いて俺達を交互に見る。

「拒否って、私がいつ拒否したのよ」


俺は、聞いていられなくて、
無理やり話を反らそうとした。


「朱音、落ち着けよ。
冷蔵庫にプリンが入ってるんだろう?
何も、今言わなくても」

昨日、出来がよくないって
作り直しただろ?
春妃に食べさせたいって、
がんばったんだろ?


「ナオは黙ってて」
春がきつく言い出した。





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