Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
午後から降りだした雨は、
夕方には本降りの雨になった。
オフィスの窓ガラスからは、
雨脚の強さはわからないが、
窓ガラスに、いくつも雨粒の
流れた跡が残っている。
気持ちは、アパートの前。
『それでも、俺、春のこと待ってる。春が来るまで…』
ナオは、そう言って電話を切った。
何のためらいも無く、
ナオに連絡を取れていた時に戻って
すぐにでも連絡を取りたい。
私たち、別れなくても、
いい方法はないのかな。
そんな可能性のないこと考えながら。
「外、気になりますか?」
窓の外を見ていた私に、
由貴ちゃんが声をかける。
「よく降るなあと思って」
「切り上げて帰るなら、
私、フォローしておきますよ」
由貴ちゃんは、この頃やる気を出して、
リーダー役をちゃんとこなしている。
「このあと、会議だから…」
私は、チラッと時計を見る。
「そうでしたね。
でも、私が議事録とってますし、
恩田さん1人いなくても…」
「大丈夫。私が来なければ、
あきらめて帰るでしょう」