Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
私の中に、こうしてナオの記憶が
刻まれている間は、
他の人を受け付けられないのに。




それなのに、私はナオに抱かれた記憶を
上書きして、更に強く体に植えつけてしまう。


キスの余韻から冷めないうちに、ナオが私の顔を覗き込む。



「聞いていいかい?」


「うん…」


「どうして、俺たちのこと、付き合っても、
長く続かないって思うの?」


私は、体を起こした。
ナオは、私の腕をしっかりつかんで、離さない。


「だって、ナオは、
付き合う女の子とすぐに別れてしまうから…」



「それで?それだけで、
春とも続かないって、思ったの?」



ナオは、クスッと笑って、また、抱きしめる。


「案外、分からないもんだね。
俺の気持ちなんて、
君にとっくにバレてると思ったのに」



「あなたの気持ち?」



「ああ。その事で、ずいぶん朱音に笑われた。
何やってんの、ヘタレって」



「朱音が?」


「朱音は?どうしてる?」


「大丈夫だよ。少々やけ食い気味だけど。
せっかく自分が犠牲になって、
春妃に打ち明けたのに、
何やってんのと怒られてるよ」



「朱音…」


「会いに行こう。寂しがってるよ」


「うん」



「そうだ。さっきの続き。
春妃は、未だに長続きしないって思ってる?」



「ええ…でも」



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