Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
ナオが、まっすぐに私を見つめて、静かにいう。
「俺は…仕方なく別の子と付き合ったんだ」
「何?その言い方」
「そう、怒るなよ。
なんでかって言うと、
俺の好きな子は、まったく俺のことなんか
無視してたし、
何故か、俺に腹を立てて、
話しかけても俺の事、無視するし。
そのうちあきらめて、
別の子と付き合ってみようと思った。
そうしたら、何か言ってくると思った。
なのに、俺の好きな子は、更に俺のことを遠ざけて
余計に距離が出来てしまった。
俺どうしていいのか分からなくなった。
だって、
その子を選んだのは、
笑った時の顔が、春に似てたから。
案の定、付き合ってから、
すぐに後悔するんだ。
笑ってる顔以外、
春とまったくの別人だって気づいて。
そんなこと、1日もあれば気づくのに。
別れようって言うのに、
半年もかかった。
本当のところ…情けないよな。
肝心なことには、気づかないふりして、
別の手近に有るもので、代用しようとしてた」
「うそ…」
「気づいてなかった?
俺、君に気づいて欲しかったんだ。
俺の事、見てくれって。
とう?最低だし、みっともないだろ?
その次に付き合った子は、
春と話し方が似てた。
でも、話してくれる中身が春とはまるで違う」