Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「お兄ちゃんだけずるいんだそうだ。
それに、お前は、会社を辞めて、
こっちに戻ってくるだろう?
ここの家屋敷を手にするのに、
マンションまで
持って行くのはずるいんだと。
だから、使わないなら、
早く出て行って欲しいだと」
「そんなの、先の話ですよ」
それに、春妃と俺は
マンションに住もうと思ってるのに。
「先なもんか。これでも遅すぎるくらいだ。
だいたい、お前がもたもたしていなかったら、
わしは、とっくに孫と遊べてるはずだ」
「それは、関係ないでしょう」
「あるさ」
「それに、春妃さんにも
早くうちの会社に入ってもらわないと」
「何で春妃が?」
「何でって、そういう約束で、
大学の授業料払ったじゃないか」
「はあ?何ですか?それ…」
「お前は、約束してないが、
俺は春ちゃんと約束した。
阿呆な孫が、
取り逃がしたら困ると思ってな。
あーそうだ。春ちゃんがいれば、
お前はもうしばらく、
そのまま遊んでて、いいぞ。
そのかわり、
春妃さんは、なるべく早く来てもらえ。
伝えるべきノウハウを、
忘れないうちに、伝えなきゃ。
わしの頭が、
ハッキリしてるうちにな」
「何だよ。それ」
でも、何より、
祖父の嬉しそうな顔が見られた。
祖父を見方に出来れば、
春のことは、安心だ。