Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「ふう~ん。そうなんだ。堅物君、いいねえ。
ねえ、前野さん、今日は、断りに来たんでしょ?」
「えっ?ああ、まあそうです…」
やっぱ、バカじゃないのか…
ちゃんと要件わかってるんだ。
「どうして?お金出すって言ってるのに」
俺は、ため息をついてから言う。
「作っても意味のないもんなら、
やらないほうがいい」
「あら、まあ。本気で言ってるの?
うちとの取引なら、死ぬほど欲しいでしょ?」
「なら、聞くけど、必要無いものに
大金かけるのは、君の趣味か?」
「大金って程じゃないわ。私のお金だし」
私のお金?億単位だぞ!
「だからって、何でも受けるわけじゃない」
堀田社長がクスッと笑う。
ちょっと、人の話聞いてんのか?
しかし、堀田社長、
ぽかんと口を開けたまま、こっちを見ている。
「何?」
俺、何か変なことしたか?
「えっ?何」
彼女は、急にテーブルに突っ伏すと、
大きな声で泣き出した。
「うわーん。春なんて…春のばか…」
「えっ、何?ちょっと、泣くなって、
春?春妃がどうしたの?」
「思い出しちゃった~!
春のバカ!!何でナオんとこなんか行くのよ。」
俺は、仕方なく、彼女の肩を揺すってやる。
「えっ!!ちょっと、待って、泣くなって」
「春のばか…」
「春がどうかしたの?」
「あんな、顔だけの
単純男何か選びやがって!!
私の方がよっぽどいい女なのに~」
「なんだ、それ」
悪いけど、おかしいけど。
「何がおかしいのよ。
くそーっ!ナオの顔見てるとムカつくし」
「君は、春の何?」
「ただの友達よ、いいじゃないの、どんな関係だって。
うるさいな。
あんた、寂しくないの?」
彼女は、真顔で聞く。
「春のことか?」
「まあ、わかってた事だし。
名古屋に来なかった時点で、無理だってわかってたから」
「冷静なのね」
「そんなことない…」
寂しいさ。そりゃ。
「あら、心の中では傷ついてるとでも?」
「さあね。どっちでもいいことだろ?
じゃあ、仕事の件は、それでいいかな」
「ええ」
「それじゃ」
「待って、話は終わってない」