Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「何だよ、それ…」
俺は何にも知らなかった。
春妃とは、一番近い、友人だと思ってたのに。
「えっ、高城が知らないの?
結構周りが騒いでたのに。
春妃、言わなかったんだ」
戸田のやつ、意味ありげに答える。
「だから、何だよ」
「本当に?まずっ。
余計なこと言ったかも。
俺らから聞いたって、
朱音さんには黙ってて?
ところで、
恩田さんまだ、こっちにいるの?」
営業が質問する。
「そりゃ、居るだろ」
「じゃ、断ったんだ…可哀想に」
戸田がにやけて言う。
だから、何だよ。
「何で、可哀想何だよ」
「だって、泣いてたから」
「泣く?春が?」
俺以外の関係ないやつのことで?
「相手が年上で、早く結婚したがったけど、
仕事辞める踏ん切りがつかないって、
悩んでたな」
戸田が、さも相談受けたみたいに言う。
「はあ?結婚…」
「高城、まじで知らなかったんだ」
営業男マジでムカつく。
「だったら、何だよ」
「案外、お前には、春ちゃん、
大事なこと話してないんじやないか?」
もう、コイツただじゃおかない。
「うるさいな」
「だって、高城ったら、
最初に春ちゃんに声かけたの、
朱音ちゃんの、
電話番号聞いたのが最初だろ?」
思い出した。
「あれは、お前らに頼まれたからじゃないか」
「そりゃ、最低だな、
よく口聞いてもらえるな」
「春ちゃん、ずっと大人だから」
と戸田。
「まあ、忘れられないよな。
初めての相手は…」
営業男が不用意に言った言葉を、
よせ、と言って、戸田が止めた。
「今さら、そんな前のこと。
でも、可愛かったな。
あの時、まだ、何にも知らなくて」
春妃?
本当なのか?
戸田が、思い出し笑いを隠しながら言う。
「なんだあ?お前まだ、
未練があるみたいじゃないか。
でも、コイツ春ちゃんの…は」
「連絡してみようかな」
春妃が、こんなやつの
誘いなんかに乗るかよ?
そんなの信じられるか…
「それ以上言ったら殺す」