Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「お待ち合わせですか?」

受付の女性社員の一人が、声をかけてきた。

「ありがとう。
仕事じゃないから、呼び出しは結構です。
ここで待たせてもらいますから。いいかな?」


「もちろんです。
でも、よろしければ、
内線でお呼びしましょうか?」


「いや。ありがとう」ホントにいいから。


5分もすると、
別の子がやって来て同じ質問をしてきた。

いい加減、
俺も訪問先と自分の名前を名乗るまで、
しつこく聞かれるのだと気づいた。


「部署はわからないけど、恩田さん、
恩田春妃、私は、丸菱商事の高城です」

女の子は、
受話器を取り内線で、春を呼んでくれた。


「申し訳ありません、
恩田は、少々会議が長引いておりますので、
もうしばらくお待ち下さい」
と丁寧に謝られた。


春を待つ間、
気づいたら、
数人の女の子のグループに囲まれた。

「あの…もし、良ければ…」

「ごめんね、待ち合わせしてるから…」

俺、ロビーに突っ立って、
何やってると思うの?


こんなことなら、
どこかのカフェに入って
メールでもすればよかった。


「ナオ!どうしたの?」

こんなところまで来て、
春を待ってたのに、
つれない歓迎を受けた。
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